思い込みを手放して、心地よく生きる
この仕事をしている以上はこうでなくてはならない
良いパートナーであるためにこうでなくてはならない
親や上司の立場としてこうでなくてはならない
皆さんはいくつくらいの〝こうでなくてはならない〟がありますか?
−
今回は前回のコラムからの続編というか、その先の私の変化についてを書いていきたいと思います。
東京へ引っ越して来てからは、スクールに通いながら、スクールが休みの日や、夜の時間は生活費のためのアルバイトや、スクールの課題やテストの準備で、毎日があっという間に過ぎました。
考え込んでいる暇は全くなくて、前に進むしかない日々です。
スクール生になって半年が過ぎたころから、スクールの系列のサロンで少しずつサロン勤務もスタートして、いよいよエステティシャンとして働き始めたのが、この頃です。確か21歳?くらいだった気がします。
地元にいた頃には出会うことがなかったような人達との出会いや、経験しえなかった体験の数々に、私の価値観がどんどん変化していったように思います。
こんな考え方があるんだ、こんな生き方があるんだと、私の心はこの頃から本当に大きく変化していったのだと思います。
たくさんの人と出会える東京という街は、当時の私にはとても良い訓練の場だったのかもしれません。
その中で、私に起きた大きな転機のひとつにパートナー(現夫)との出会いもあります。
東京に行って、仕事が落ち着いたら、色んな恋愛してみたい!とか息巻いていたのに、東京で出来た初めての彼氏と気がついたら結婚していました。何が起こるか分からないのが人生って言ったりもするけど、本当にそうなんですね。
20代の仕事のこと、恋愛のこと、結婚してからのこと、たくさんの喜びも試練もあったのですが、書き出すと本当にキリがないので、時を進めて30代前半へ。
私にとって印象深い出来事が起こります。
−
30代に入って割とすぐのころ、台湾へ旅行に行く機会がありました。
20代の頃、仕事でいっぱいいっぱいで、海外旅行しようなんて思う余裕もなかったのですが、機会に恵まれて、いざ人生初の外国、台湾へ。
降り立ってみて最初に感じたのは、「独特の匂いがする、、、!」だった気がします。
初めてということで、代表的な観光スポットを巡ったり、街の中を散策したりしたのですが、その中で私が気になったことが、台湾の人の働き方。
大きなデパートでも、個人のお店でも、店員さん達は勤務中に携帯を見たり、ご飯を食べたりしていて、お店によっては「いらっしゃいませ」とも言わない。
日本でサービス業に従事する私は、はじめ「怒ってるのかな?」とか「すごく無愛想なんだな」と感じていました。
それを隣にいた夫に伝えると、「それは日本の接客と比べたらそうかもしれないけど、ここではこれが普通なんじゃない?」と、あっさり一言。
でも、その時、私の心には、なんだかすごく大きな衝撃が走ったのを、すごくよく覚えています。
初めての海外、文化も習慣も全く異なる場所で、私は自分が見てきたものや体験したことだけが正しくて、そうでないものには嫌悪感を持ってしまっていたんだと思ったら、自分の見えている世界がどれだけ狭かったのかと、はっとさせられました。
これは、日本と台湾だからではなくて、普段の生活での人との関わりや、仕事の仕方まで、あらゆることでそういった価値観でしか物を見られていなかったのではないか、と思いました。
色んな人がいる、みんな違う、そんな「違う価値観」を頭で理解をしたつもりになっていただけで、それを受け止めるということが全くできていなかった自分に衝撃を受けました。
実際に、台湾の店員さん達は、みなさん注文をすれば元気に接客してくれたり、質問をすると笑顔で答えてくれます。手が空いている時を自由に過ごしているだけ。
手が空いている時も笑顔で店頭に立って、いつでも丁寧におもてなしをしてくれるのは、日本の素晴らしい接客なんだということも同時に気づくことができました。
これは、海外に行ったら、多くの人が思うことなのかもしれません。
でも、20代の間に「自分を確立させたい」と、もがいていた私は、いつしか、自分を確立させていく過程で、自分の中の正しさみたいなものが心の中でどんどん硬く大きくなって、
接客はこうでなくてはならない、とか、セラピストである以上こうでなくてはならない、とか、そんな風に自分を縛りつけていたかもしれません。
もちろん、それが全ていけないという訳ではなくて、自分が本当にそうしたいからそうしているのかどうかが重要なのだと思います。
例えば私で言うと、サロンで、笑顔で気持ちよく、心地の良い場所で、みなさんをお迎えしたいと心から思って行動しているならば、なにも苦しくないです。
でも、他のサロンさんはこんなこともしているから私ももっとこうしなきゃ!とか、サロンというものは一般的にはこうだから最低でもこうしないといけないとか、そんな風に考え出したら、それが多くなればなる程に自分自身が苦しくなって、その苦しさはお客様や周りに人にも必ず伝わっていきます。
自分の考えや軸を持つことは大切なことだけど、他者を受け入れられなくなったり、否定してしまうようになってしまったら、そのたびに自分自身の心が傷ついてボロボロになっていくのだと思います。
自分の心には正直に、違う考えの人に出会ったら、そんな考えもあるだと受け止めて、自分とは別の人の考えと切り離して考える。
自分と同じ考えでなくても良い、否定しなくていい、その人の心はその人だけのものだし、自分の心も自分だけのもの、意思決定をするのは自分自身、誰かに合わせなくても大丈夫。
それは、初対面の人でも、もう会うことがない人でも、毎日顔を合わせる人でも、身近な存在でも、誰に対してもそうです。
そんな風に自分を大切にすることも、心地良さのための大切な習慣だと、私はこの体験をきっかけに強く強く感じるようになりました。
仕事や趣味を通して様々な人と出会ったり、普段の生活とは違う土地に足を伸ばして色々な経験をすることで、たくさんの学びを得ることができます。
どれも一人では出来ない、人との縁あってこそのこと。
みなさんはこれまでどんな経験をしてきましたか?ぜひ、サロンで色々なお話を伺えることを楽しみにしています。
私もこうしてコラムに他の出来事や気づきをどんどんシェアしたいと思っていますので、引き続きお付き合いいただけますと嬉しいです。
長文お読みいただき、ありがとうございました。また次回コラムもぜひお楽しみに〜











